公開:2026年9月6日 執筆:もりそん 計算の根拠:計算根拠・出典一覧
住民税は「金額」より「時期」でつまずく税金です。前年の所得に対してかかり、翌年6月から引かれ始めるため、 新卒2年目の6月に給与が減ったり、退職した翌年に納付書が届いたりします。この記事では、計算と支払い時期の仕組みを退職・転職の場面まで含めて整理します。 金額は年収手取り計算で、年収別の一覧は早見表で確認できます。
結論:所得割10%+均等割5,000円を、翌年6月から12回で払う
- 所得割=課税所得×10%(市区町村民税6%+都道府県民税4%)。課税所得は前年の給与所得から社会保険料控除・基礎控除(43万円)などを引いた額
- 均等割=5,000円(市区町村3,000円+都道府県1,000円+森林環境税1,000円)。所得に関係なく一律
- 時期:1〜12月の所得→翌年5〜6月に会社へ「特別徴収税額決定通知書」→6月から翌年5月まで12回で給与天引き(6月分だけ端数調整で多い)
年収500万円(独身・30歳)なら年間約243,100円、月あたり約20,258円が引かれます。年収300万円で約115,700円、700万円で約375,500円です。
なぜ「前年の所得」なのか
所得税は毎月の給与から概算で源泉徴収し、年末調整で精算します。住民税は、その年末調整や確定申告で確定した所得のデータを会社や税務署から自治体が受け取り、 翌年に税額を計算するため、必ず1年遅れになります。この時差が次の3つの現象を生みます。
- 新卒1年目は住民税がかからない(前年に所得がないため)。2年目の6月から引かれ始め、手取りが月1万円前後減る
- 退職・休職して収入が減った翌年も、前年の高い所得に対する住民税を払う。退職後の資金計画で最も見落とされる支出
- 年収が下がっても住民税はすぐ下がらない。転職で年収が下がった年は、手取り率が一時的に悪化する
住民税がかからない年収の目安
給与収入だけの独身なら、年収およそ100万円〜110万円以下で住民税は非課税です(均等割の非課税限度額は自治体の級地区分で違い、大都市部は45万円の所得=給与収入110万円)。 扶養家族がいる場合は「35万円×(本人+扶養人数)+31万円(均等割)/+42万円(所得割)」で限度額が上がります。 2025年の税制改正で所得税がかかり始めるのは年収160万円からになりましたが、住民税の非課税ラインはほとんど動いていないため、 パートの人は「所得税はかからないが住民税は少しかかる」年収帯が広くなりました。壁の全体像は2025年税制改正まとめへ。
退職したときの住民税:一括徴収か、納付書か
| 退職する月 | 残りの住民税の扱い | ポイント |
|---|---|---|
| 1月〜5月 | 5月までの残額を最後の給与・退職金から一括徴収(原則) | 最終給与の手取りが大きく減る。退職金からの徴収も可 |
| 6月〜12月 | 本人が選択:①最後の給与から翌年5月分まで一括徴収 ②自治体から届く納付書で自分で払う(普通徴収・年4回) | 何も言わなければ普通徴収。納付書は退職の1〜2か月後に届く |
| すぐ転職する | 「給与所得者異動届出書」を前職→転職先で引き継げば特別徴収を継続 | 手続きは会社間で行う。間が空くと普通徴収になる |
退職翌年の6月には、退職した年(1〜12月)の所得に対する住民税の納付書が改めて届きます。年収500万円で辞めた人なら約243,100円。 無職・低収入になっていても支払義務は変わらないため、退職金や貯蓄から確保しておく必要があります。 退職後の支出の順番は姉妹サイトの退職後の手続きガイドに、 失業保険の受給見込みは失業保険の給付額計算でまとめられます。
納付が難しいとき
- 分割・猶予の相談:自治体の納税課に連絡すれば、分割納付や徴収猶予に応じてもらえることが多い。放置すると延滞金(年8.7%前後、最初の1か月は2.4%前後)と督促・差押えに進む
- 減免制度:失業・病気・災害で著しく所得が減った場合、条例による減免がある自治体がある。申請期限が「納期限まで」のことが多いので早めに
- ふるさと納税の控除は翌年の住民税から:寄付した翌年6月からの住民税が減額される形で戻る。退職予定の年に寄付すると、翌年の低い所得に対する住民税からは引き切れないことがある(上限額シミュレーター)
給与明細と決定通知書の見方
毎年5〜6月に会社経由で渡される「特別徴収税額の決定通知書」には、前年の所得・所得控除・税額の内訳が載っています。 給与明細の住民税が去年と大きく違うときは、この通知書の「所得控除」の欄で、社会保険料控除・配偶者控除・扶養控除・iDeCoなどが正しく反映されているかを確認してください。 年末調整の申告漏れがあれば、確定申告(5年以内)で修正でき、住民税も再計算されます。
よくある質問
住民税はいつから給与から引かれますか?
前年1〜12月の所得に対する税額が、翌年6月から翌々年5月まで12回に分けて給与から引かれます(特別徴収)。新卒の場合、1年目は前年の所得がないため引かれず、2年目の6月から始まります。
退職したら住民税はどうなりますか?
1〜5月に退職した場合は、5月分までの残額が最後の給与や退職金から一括で徴収されるのが原則です。6〜12月に退職した場合は、一括徴収か、自治体から届く納付書で自分で払う普通徴収かを選べます。さらに退職翌年の6月には、退職した年の所得に対する住民税の納付書が届きます。
住民税がかからない年収はいくらですか?
給与収入のみの独身で、およそ100万〜110万円以下です(自治体の級地区分で異なり、大都市部は110万円)。扶養家族がいると非課税限度額は上がります。2025年の改正で所得税は160万円まで非課税になりましたが、住民税の非課税ラインはほぼ変わっていません。