退職所得控除の早見表
この金額までなら、退職金に税金は一切かかりません。
| 勤続年数 | 退職所得控除額 | 計算式 |
|---|---|---|
| 5年 | 200万円 | 40万 × 5年 |
| 10年 | 400万円 | 40万 × 10年 |
| 15年 | 600万円 | 40万 × 15年 |
| 20年 | 800万円 | 40万 × 20年 |
| 21年 | 870万円 | 800万 + 70万 × 1年 |
| 25年 | 1,150万円 | 800万 + 70万 × 5年 |
| 30年 | 1,500万円 | 800万 + 70万 × 10年 |
| 35年 | 1,850万円 | 800万 + 70万 × 15年 |
| 38年 | 2,060万円 | 800万 + 70万 × 18年 |
| 40年 | 2,200万円 | 800万 + 70万 × 20年 |
退職金の税金が軽い3つの理由
退職金は「長年の勤労に対する報償」であり、老後の生活資金でもあります。 そのため税制上、給与所得より大幅に優遇されています。
1. 退職所得控除で大きく非課税になる
勤続20年までは1年あたり40万円、20年を超える部分は1年あたり70万円が控除されます。 勤続30年なら1,500万円まで完全に非課税。日本企業の退職金の平均額を考えると、 そもそも税金がかからない人が多数派です。
2. 超えた部分も半分しか課税されない
控除を超えた金額は、その2分の1だけが課税対象になります。 勤続30年で退職金2,000万円なら、控除1,500万円を引いた500万円の半分、250万円が課税対象です。 税額は所得税と住民税を合わせても40万円弱に収まります。
3. 他の所得と合算されない(分離課税)
給与所得や事業所得と合算せず、退職所得だけで税率を判定します。 高収入の人でも、退職金に高い累進税率がかかることはありません。
退職日で手取りが変わる
勤続年数の1年未満の端数は切り上げられます。 勤続20年0ヶ月で退職すると控除は800万円ですが、20年1ヶ月なら21年扱いで870万円。 1ヶ月の差で控除が70万円増えます。
退職時期をある程度選べるなら、上のグラフで自分の勤続年数の前後を確認してみてください。 数ヶ月ずらすだけで手取りが十万円単位で変わることがあります。
これを出さないと退職所得控除が適用されず、退職金の額に一律20.42%が源泉徴収されます。 勤続30年・退職金1,500万円なら、本来ゼロの税金が約306万円引かれる計算です。 確定申告で取り戻せますが、手間を考えれば退職時に必ず提出してください。
このツールの使い方と計算の根拠
入力のコツ
「退職金の額」は会社から提示された支給額(税引き前)を、「勤続年数」は入社日から退職日までの年数を入れます。1年未満の端数は切り上げなので、 20年1か月なら21年として計算されます。休職期間も原則として勤続年数に含みます。 企業型確定拠出年金や中小企業退職金共済からの一時金も同じ「退職所得」なので、同じ年に受け取る場合は合算して入力してください。
計算式
- 退職所得控除=勤続20年以下:40万円×勤続年数(最低80万円)/20年超:800万円+70万円×(勤続年数−20年)。障害が原因の退職は+100万円
- 課税退職所得=(退職金−退職所得控除)×1/2(1,000円未満切り捨て)
- 所得税=課税退職所得×所得税率−控除額(5〜45%の累進)に復興特別所得税2.1%を加算。住民税=課税退職所得×10%
- 手取り=退職金−所得税−住民税。退職所得は他の所得と合算しない分離課税
根拠は所得税法30条・国税庁「退職金と税」、地方税法の退職所得に係る分離課税の規定です。 本ツールは「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出した場合の税額を表示しています。
間違えやすい点
- 勤続5年以下は1/2にならない部分がある:役員等は控除後の全額、一般社員は控除後300万円を超える部分が1/2にならず全額課税です(短期退職手当等)。転職を重ねた人は注意
- iDeCo・企業型DCの一時金と退職金を近い時期に受け取ると控除枠を共有する:勤続年数(加入年数)の重複期間分は控除が減ります。受け取る順番と間隔のルールは2026年から見直されているため、受け取り前に金融機関で確認してください
- 社会保険料は退職金にはかからない:健康保険・厚生年金・雇用保険の対象外です。一方、退職翌年の国民健康保険料は前年の給与所得で決まり、退職所得は含まれません
- 年金形式で受け取ると雑所得:公的年金等控除の対象になりますが、国民健康保険料や介護保険料の算定所得に含まれるため、一時金より総負担が増えることがあります
結果をどう使うか
手取りが分かったら、退職後の生活費・住民税の残額・健康保険料の支払い原資として何か月分になるかを見積もります。 計算の考え方は退職金の税金の計算で例を使って解説し、退職後の手続きの順番は姉妹サイトの 退職後の手続きガイドにまとめています。
この計算をどう検証しているかは運営者情報の「検証方法」に書いています。
よくある質問
退職金はいくらまで税金がかかりませんか?
勤続年数によります。勤続20年以下なら「40万円 × 勤続年数」、20年を超える部分は「70万円 × 超過年数」が控除されます。勤続20年なら800万円、勤続30年なら1,500万円、勤続38年なら2,060万円までは税金がかかりません。日本の退職金の平均額はこの控除の範囲内に収まることが多く、実際には無税になるケースが少なくありません。
退職金の税金が給与より軽いのはなぜですか?
3つの優遇があるためです。第一に退職所得控除で大きな金額が非課税になります。第二に控除を超えた部分も2分の1だけが課税対象になります。第三に他の所得と合算されない分離課税なので、給与所得の税率に引きずられません。長年の勤労に対する報償という性格から、税制上手厚く扱われています。
勤続20年を超えると控除が増えるのはなぜですか?
長期勤続を優遇する制度設計のためです。20年までは1年あたり40万円ですが、21年目からは1年あたり70万円に増えます。そのため勤続19年と21年では控除額が大きく違います。勤続20年で800万円、25年で1,150万円、30年で1,500万円。退職時期を選べる場合は、20年を超えてから退職するほうが有利です。
勤続年数に1年未満の端数がある場合はどうなりますか?
1年未満は切り上げます。勤続20年1ヶ月なら21年として計算されるため、控除額は800万円ではなく870万円になります。わずか1ヶ月の差で70万円の控除が増えるため、退職日を数ヶ月ずらすだけで手取りが変わることがあります。
「退職所得の受給に関する申告書」を出さないとどうなりますか?
退職所得控除が適用されず、退職金の額に一律20.42%が源泉徴収されます。勤続30年で退職金1,500万円なら、本来は税金ゼロのところ約306万円が引かれることになります。確定申告をすれば還付されますが、手続きの手間がかかります。退職時に必ず提出してください。
iDeCoの一時金と退職金を同じ年に受け取っても大丈夫ですか?
控除の枠を共有するため、合算されて不利になる場合があります。iDeCoを一時金で受け取る場合、その前年以前19年内(2026年時点の取扱い)に退職金を受け取っていると、退職所得控除が調整されます。受け取る順番と時期によって税額が大きく変わるため、事前に金融機関や税理士に確認することをおすすめします。