ボーナスの手取りが少ない理由|社会保険料と源泉徴収の率、年末調整で戻る額

公開:2026年9月6日 執筆:もりそん 計算の根拠:計算根拠・出典一覧

「ボーナス50万円」と聞いて口座を見ると40万円しかない。この差は、月給とは別のルールで引かれる社会保険料と、前月の給与で決まる源泉所得税によるものです。 この記事では引かれるものを1つずつ分解し、「引かれすぎた分がいつ戻るか」まで説明します。自分の賞与で試すならボーナス手取り計算へ。

結論:社会保険料で約15%、所得税で数%〜20%が引かれ、住民税は引かれない

引かれるもの計算のもと率(本人負担)賞与50万円の例
健康保険料標準賞与額(1,000円未満切り捨て)約4.93%(東京都)約24,600円
厚生年金保険料標準賞与額(1回150万円まで)9.15%45,750円
雇用保険料賞与額0.5%2,500円
介護保険料(40〜64歳)標準賞与額0.81%4,050円
子ども・子育て支援金標準賞与額0.115%575円
源泉所得税(賞与−社会保険料)×算出率0〜45.945%約26,000円(率6.126%の例)
住民税—引かれない0円

この例(30代・独身・前月給与30万円台)では手取りは約40万円、額面の約80%です。社会保険料が約7.3万円、所得税が約2.6万円という内訳で、社会保険料のほうが所得税の3倍近く引かれています。

社会保険料:月給の「等級」ではなく、賞与額に直接かける

月給の社会保険料は標準報酬月額の等級表で段階的に決まりますが、賞与は等級を使いません。 賞与から1,000円未満を切り捨てた標準賞与額に、月給と同じ料率(健康保険約10%・厚生年金18.3%、いずれも折半)をかけます。 だから賞与の社会保険料は「賞与額×約15%」とほぼ比例します。 上限は健康保険が年度(4月〜翌3月)累計573万円、厚生年金が1回150万円。1回150万円を超える賞与では、超えた部分の厚生年金保険料がかからないため、手取り率が上がります。

源泉所得税:前月の給与で率が決まる「前払い」

賞与の所得税は、国税庁の「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で決まります。 表の見方は、前月の給与から社会保険料を引いた額と扶養親族の数で率を探し、(賞与−社会保険料)にその率をかける、というもの。 率は0%から45.945%まで段階があり、前月給与が高いほど高い率になります。扶養親族が多いほど率は下がります。

重要なのは、この率が年間の所得税を正しく反映したものではないことです。あくまで年末調整で精算する前提の前払いなので、 月給に比べて賞与が大きい人ほど「引かれすぎ」になりやすく、その分は12月の年末調整で戻ってきます。逆に賞与が小さく前月給与が大きい人は追加徴収になることもあります。

特例になるケース

  • 前月に給与がない(入社直後・休職明け)→賞与を6で割った額を月額表に当てて計算
  • 賞与が前月給与(社会保険料控除後)の10倍を超える→同じく月額表を使う特例計算
  • 年4回以上の賞与→「給与」扱いになり、月給と同じ計算。標準報酬月額にも含まれる

住民税が引かれない理由

住民税は前年の所得に対する年税額を、6月から翌年5月の給与で12回に分けて払う仕組みです。賞与から改めて引く枝分かれはありません。 ただし賞与も所得なので、翌年の住民税額には反映されます。賞与が多かった年の翌年は住民税が上がる、という時差があります(住民税の時期の仕組み)。

年末調整で戻る額の目安

年間の所得税は「年収全体」で計算し直されるので、賞与で高い率を引かれた人は差額が12月の給与で還付されます。 年収500万円(月給約31万円+賞与2回・計約125万円)の会社員なら、年間の正しい所得税は約118,100円。賞与と月給の源泉徴収の合計がこれを上回った分が戻ります。 戻る額を増やすには、年末調整で生命保険料控除・地震保険料控除・iDeCoの掛金・配偶者控除などを漏れなく申告することです。

賞与月に退職するなら知っておくこと

  • 支給日在籍要件:多くの賞与規程は「支給日に在籍している者」に支給する。支給日の前に退職日が来ると支給されない
  • 退職月の賞与の社会保険料:月末退職なら賞与にも社会保険料がかかる。月末前日以前の退職なら、その月の資格喪失後に払われた賞与には健康保険・厚生年金の保険料がかからない(雇用保険料はかかる)
  • 年末調整がない:年の途中で退職して再就職しなければ、賞与で多く引かれた所得税は翌年の確定申告で取り戻す

退職日の置き方は姉妹サイトの退職を伝えるベストなタイミングで、 年間の手取りは年収手取り計算(賞与の回数と金額を入力できます)で確認してください。

ボーナスの使い道は、入る前に決めておくPR

賞与は手取りがまとまって入るぶん、使い道を決めないと生活費に溶けやすいお金です。生活防衛資金に足す、NISAの積立に回す、ローンを繰り上げ返済するなど、配分を先に決めておくのが基本です。配分に迷うなら、ガーデンの貯蓄相談でFPに無料で相談できます(オンライン面談可)。

よくある質問

ボーナスの手取りは額面の何%くらいですか?

おおむね75〜85%です。社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険)で約15%が引かれ、源泉所得税が前月給与に応じて数%〜20%程度引かれます。住民税は賞与からは引かれません。所得税の一部は年末調整で戻るため、年間で見た実質の手取り率はこれより高くなります。

ボーナスの所得税が月給より高い率で引かれるのはなぜですか?

賞与の源泉所得税は「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で、前月の給与(社会保険料控除後)と扶養親族の数から率を決めます。この率は年間の所得を正確に反映した税額ではなく前払いなので、賞与が大きいと引かれすぎになりやすく、差額は年末調整で還付されます。

ボーナスから住民税は引かれますか?

引かれません。住民税は前年の所得に対する年税額を6月から翌年5月の給与で12回に分けて徴収する仕組みで、賞与からは徴収されません。ただし賞与も所得に含まれるため、翌年の住民税の額には反映されます。