社会保険料の決まり方|標準報酬月額・4〜6月の給与・上限の仕組み

公開:2026年9月6日 執筆:もりそん 計算の根拠:計算根拠・出典一覧

給与明細でいちばん大きい控除は、たいてい厚生年金保険料と健康保険料です。ところがこの2つは「給与×料率」ではなく、 標準報酬月額という別の金額をもとに計算されています。仕組みを知ると、4〜6月の残業で保険料が上がる理由や、 月末退職と月末前日退職で保険料が1か月分違う理由が分かります。自分の金額は手取り計算で確認できます。

結論:月給を50等級の表に当てはめ、料率の半分を払う

健康保険料=標準報酬月額×健康保険料率÷2、厚生年金保険料=標準報酬月額×18.3%÷2。この「÷2」は会社との折半です。 雇用保険料だけは等級を使わず、毎月の給与総額×0.5%(労働者負担・一般の事業)で計算します。 40歳の誕生月からは介護保険料(1.62%÷2)が健康保険料に上乗せされます。2026年4月分からは子ども・子育て支援金(0.23%÷2)も健康保険料と一緒に引かれます。

月給(報酬月額)標準報酬月額健康保険(本人)厚生年金(本人)介護保険(40〜64歳)合計の目安※
月給200,000円200,000円9,85018,3001,62029,380
月給250,000円260,000円12,80523,7902,10638,144
月給300,000円300,000円14,77527,4502,43044,070
月給400,000円410,000円20,19237,5153,32160,179
月給650,000円650,000円32,01259,4755,26595,485

※合計は健康保険+厚生年金+雇用保険+子ども・子育て支援金(介護保険を除く)。協会けんぽ東京都の令和8年度料率9.85%で計算。都道府県により9.21〜10.55%の幅があります。

標準報酬月額とは何か

月給を「報酬月額」として、協会けんぽの等級表(第1級5万8,000円〜第50級139万円)に当てはめた金額です。 たとえば報酬月額が31万円以上33万円未満なら標準報酬月額は32万円(第23等級)。 この等級表に当てはめることで、月給が数千円変わっても保険料は変わらない、という段階的な決まり方になります。 報酬月額には基本給だけでなく、残業手当・通勤手当・住宅手当・家族手当など、労働の対価として毎月受けるものすべてを含みます。通勤手当が含まれる点は所得税と違うので注意してください。

いつ決まるか:4〜6月の給与が1年を決める(定時決定)

標準報酬月額は毎年1回、4月・5月・6月に支払われた給与の平均で決め直され、その年の9月から翌年8月まで適用されます(定時決定・算定基礎届)。 3〜5月に残業が多いと4〜6月の支給額が増え、その後1年間の保険料が上がる、というのはこの仕組みです。 ただし保険料が上がった分は将来の厚生年金額にも反映されるので、単純な損ではありません。

途中で大きく変わったとき(随時改定)

昇給や降給で固定的な給与が変わり、変動後3か月の平均が2等級以上ずれた場合は、4か月目から標準報酬月額が改定されます(月額変更届)。 残業代の増減だけでは対象にならず、基本給や手当の改定が必要です。

入社時(資格取得時決定)

入社時は、契約上の月給から見込みで決めます。試用期間で給与が低い人も、その時点の月給で等級が決まり、次の定時決定か随時改定まで続きます。

上限がある:厚生年金は65万円、健康保険は139万円

厚生年金の標準報酬月額は第32級・65万円が上限です。報酬月額が63万5,000円以上の人は、月給がいくら高くても厚生年金保険料は月59,475円(本人負担)で止まります。 健康保険の上限は第50級・139万円なので、年収1,000万円前後から「厚生年金は上限、健康保険はまだ増える」という状態になります。 年収1,200万円以上で社会保険料の比率が下がっていくのはこのためです(年収1,200万円の内訳)。

賞与の保険料は別ルール

賞与は等級表を使わず、標準賞与額(1,000円未満切り捨て)に同じ料率をかけます。上限は健康保険が年度累計573万円、厚生年金が1回150万円。 年4回以上支給される賞与は「給与」として扱われ、標準報酬月額の計算に含まれます。詳しくはボーナスの手取りが少ない理由へ。

退職月の保険料は「退職日」で1か月分変わる

社会保険料は「資格を失った日(退職日の翌日)が属する月の前月分」まで発生します。 3月31日退職なら資格喪失日は4月1日で、3月分の保険料がかかります。3月30日退職なら資格喪失日は3月31日で、3月分はかかりません。 ただし3月分は国民健康保険・国民年金(または転職先の社会保険)に入ることになるので、無保険の月ができるわけではなく、負担先が変わるだけです。 退職前後の手続きは姉妹サイトの退職後の手続きガイドで解説しています。

保険料が高いと感じたときの確認ポイント

  • 等級が正しいか:明細の標準報酬月額と、4〜6月の平均支給額を等級表に当てて確かめる。年金事務所から届く「標準報酬決定通知書」でも確認できる
  • 介護保険料が引かれ始める月:40歳の誕生日の前日が属する月から。誕生日が1日の人は前月から
  • 都道府県の料率:協会けんぽは勤務先の所在地(事業所)の都道府県の料率。転勤で変わることがある
  • 組合健保・共済:協会けんぽより料率が低い(または高い)ことがあり、本サイトの計算とずれる

月給を入れて等級と保険料を確かめるなら年収手取り計算、壁の判定は扶養の壁シミュレーターをどうぞ。

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よくある質問

4月から6月に残業すると、社会保険料が上がるのは本当ですか?

本当です。標準報酬月額は毎年4〜6月に支払われた給与の平均で決め直され(定時決定)、その年の9月から翌年8月まで適用されます。残業手当も報酬月額に含まれるため、この3か月の残業が多いと等級が上がることがあります。ただし保険料の増加分は将来の厚生年金額にも反映されます。

社会保険料に上限はありますか?

あります。厚生年金の標準報酬月額は65万円(第32級)、健康保険は139万円(第50級)が上限です。賞与も健康保険は年度累計573万円、厚生年金は1回150万円が上限です。上限を超える給与部分には保険料がかからないため、高年収では社会保険料の比率が下がります。

月末退職と月末前日退職で保険料は変わりますか?

変わります。保険料は資格喪失日(退職日の翌日)の前月分までかかるため、月末退職はその月の保険料が発生し、月末前日退職は発生しません。ただし、その月は国民健康保険・国民年金か転職先の社会保険に入ることになるので、負担がゼロになるわけではありません。